モダンデザインの象徴を手に 圧倒的な存在感のある椅子

今月はラウンジチェアの特集。
Eames Lounge Chair&Ottomanは、Charles & Ray Eamesがプライウッドを成型できないか試みたことから、そして家庭のリビングルームに多く見られるラウンジシーティングをより良いものにしたいと望んだことから生まれました。イギリスのクラブチェアにインスピレーションを得たチャールズは、モダンなクラブチェアをデザインしたかったと述べました。「まるで使い込まれた一塁手のミットのように温かく包み込むような外見」を持つものに。アメリカンデザインの象徴になりました。


Eames Lounge Chair&Ottoman by Charles & Ray Eames

スチールパイプを接合した骨組みには、建築的な要素を満載

Le Corbusierと、彼の従兄弟のPierre Jeanneret Charlotte Perriandとのデザイン。Fauteuil Dossier Basculantバスキュランチェアとも呼ばれます。20世紀に作られた椅子の中でマスターピースのひとつに数えられる名品。「住宅は住むための機械である」というLe Corbusierの言葉は、装飾を排し機能性を追及したこの椅子に当てはまります。背もたれが姿勢に応じて動くのが特徴で、アームはフレームに厚革を掛けただけのシンプルな構造です。ニューヨーク近代美術館所蔵作品。


Fauteuil Dossier Basculant by Le Corbusier, Pierre Jeanneret, Charlotte Perriand

より少ないことは、より豊かなこと王の椅子と呼ばれるバロセロナチェア

20世紀で最も有名な椅子のひとつであり、モダンデザインのアイコンともいえるバルセロナチェア。スペイン国王夫妻を迎えるための『最高級の王の椅子』としてデザインされました。そのシンプルでエレガントな姿は、Mies van der Rohe の名言「less is more」(レス・イズ・モア=より少ないことは、より豊かなことである)を体現しています。フレームのクロームスチールは職人の手で丁寧に磨かれ、シートクッションと背もたれのクッションは、フレームのカーブにフィットするようにデザインされています。


Barcelona Chairl by Mies van der Rohe

自転車のフレームの曲げがラウンジチェアのフレームに

Marcel Breuerがまだバウハウスの家具工房で指導をしていた頃、自転車のフレームから着想を得てハンドルバー(鋼管)をどのように曲るか興味を持ち、デザインしたというワシリーチェア。当時、デ・ステイル運動の構成主義理論に影響を受けたブロイヤーは、古典的なクラブチェアの形状から要素を減らした線と面で構成するデザインを目指し、スチールパイプの実験を始めました。カウハイドのシートは、ブラック、ライトブラウン、ホワイトベージュの3色から選べます。
豊富なカラーが揃うベルティングレザーとナチュラルキャンバスの仕様もお選びいただけます。


Wassily Lounge Chair by Marcel Breuer

座る人を包み込みシルエットが卵のように見える椅子

Arne Jacobsenによりデザインされたエッグチェアは、デンマークデザインにおける不朽の名作といえます。デンマークのSASロイヤルホテルのためにデザインされました。ヤコブセンは彫刻家のように、自身のガレージでワイヤーと石膏を使用した試作を繰り返し、シェルの完璧なフォルムを追及しました。今日、エッグチェアはヤコブセンの偉業を象徴するアイテムの1つとして、またスカンジナビアのクラフツマンシップの記念碑的な作品として世界中で認識されています。


EGG by Arne Jacobsen

まるで女性の子宮の中にいた時のような包まれる安心感を体現

1946年Knollのために特別に作られたEero SaarinenのWomb Chair。Florence Knollの「たくさんのクッションの中で丸くなれる、バスケットのような椅子」というリクエストに応え、モダンデザインの新たなスタンダードを提示した画期的なチェアです。一体成型されたシェルは、当時の新素材・新技術であったFRPにより構成されています。どんな座り方をも受け止めてくれるそのフォルムは、母なる子宮(Womb)の名の通り、胎内にいることを想起させるような心地よい安らぎを与えてくれます。


Womb Chair by Eero Saarinen

孔雀の羽根を広げた姿のようなデザインのピーコックチェア

Hans J Wegnerの代表作の一つ、PP550 Peacock Chair。孔雀の羽根を広げた姿からこのように呼ばれるようになりました。背のスピンドルが矢に似てることから『アローチェア』とも言われます。Peacock Chairの名付け親はライバルでもあったFinn Juhl が付けた事も有名です。イギリスのウィンザーチェアをリ・デザインした美しいプロポーションが最大の魅力で、華やかなデザインの桟をあしらった大きく湾曲した背もたれは、人間工学的な美を上手く表現出来ています。


PP550 Peacock Chair by Hans J Wegner

快適なイージーチェアの大きなクマの足に抱かれましょう

1953 年にフレームの生産を開始したPP19 Papa Bear Chairは、Hans J Wegnerの最初のデザインであり、取材した記者が「クマが後ろから抱きしめているみたいだ」と記事を載せたことから名付けられました。PP Møbler で生産され、包み込まれるような安心感のある座り心地です。PP130 Circle Chairは椅子の中で最もシンプルでエレガントな形である円に基づいて椅子を作るというアイデアで試行錯誤、Hans J Wegnerが 72 歳で最終的にデザインを完成させるまで遠い夢のままでした。


PP19 Papa Bear by Hans J Wegner